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■ Report
  
第82回「Eビジネス研究会」                         平成19年5月10日(木) 
   
テ   ー  マ:

      『Web2.0 を超えた次世代サーチとは?!』
 〜世界最速級クラスタリングサーチエンジンまで

     つくりだしたMooterの目指すWebイノベーションと
   新しいソフトウェアと人との
               次世代コミュニケーションとは?!〜

   
Eビジネス:
マイスター
ムーター株式会社
創設者 代表執行役社長 IT アーキテクト
稲村 尚志 氏
    
当日の様子はこちらから 当日の資料(抜粋版)はこちらから
               

82回目の今回は、ムーター株式会社(Mooter Inc.)の代表執行役社長 稲村 尚志氏をお迎えして、『Web2.0を超えた次世代サーチとは?』をテーマに、Mooterのテクノロジーやサーチエンジン進化論についてお話いただきました。


■Mooterという名前の由来



Mooterは英語の"moot"(討論する)に由来し、「人を科学する」というコンセプトを持っています。 人と膨大な情報との距離を近づけるのがMooterの役割です。ユーザーが検索結果を予測して検索するのではなく、 ソフトウェアがユーザーを予測するという概念に基づいて開発されてきました。


Mooterは2001年にオーストラリアで生まれたテクノロジーで、日本では2005年にライセンシーとして事業を スタートしました。そのアルゴリズムを生かし、2006年1月から完全独立体制となりました。 現在は、研究開発に加え、インターネット検索・モバイル検索・エンタープライズ検索の事業を行っています。


■クラスタリングサーチエンジン



Mooterでは、検索結果を自動的にカテゴリ分類し、7項目ずつ順に表示していきます。求めるカテゴリをクリックすると絞り込みがされた検索結果を見ることができます。
「スターバースト」画面では、絞り込み結果を7つのクラスターに分けて表示します。これは、人がキーワードをもとに連想する形を体系化したものです。 表現のしかたは、人が見て理解しやすい最小最大の数は7つであるという理論に基づいています。

例えば「住宅」というキーワードをMooterで検索すると、「リフォーム、ローン、新築マンション、一戸建、不動産、住まい、注文」という7項目で自動的に絞り込み検索できるようになっています。 このようなMooterのクラスタリングサーチエンジンは、一つのキーワードに対するユーザーの目的意識の違いを集約するのがサーチエンジンの役割であるという考え方から生まれました。

Googleさんのサーチエンジンですと、検索結果や広告に関するテーマが分類されておらず、価値や真偽はユーザー任せになってしまいます。文字だけでは把握できないテーマを一瞬にしてカテゴリ化して整理できるようにしたのがMooterの技術なのです。


■日本語の言語処理研究


また、GoogleやYahoo!検索との差別化として注力しているのが、日本語で入力された文を解析する能力です。従来のサーチエンジンは英語を検索するために開発されたため、単語と単語の間には半角スペースを空けて入力されることが前提となっていました。ところが日本語の場合は、文を書くときに単語と単語の間にスペースを空けることはありません。


「暑さ寒さも彼岸まで」(=あつささむさもひがんまで)といった文は、人間は即時に理解できますが、ロボットが理解するのは非常に難しいのです。Mooterでは、単語を分解する技術を開発し、どこまでで一つの単語かを把握し、文の意味を把握できるようにしています。一瞬で300〜400のデータを実行処理できるようになりました。


■「検索デスク」での高評価


このような、検索の速さと的確さは、利用するユーザーから着実に支持されるようになりました。「検索デスク」という、1996年からサービスを開始している日本で最も多くのユーザーから利用されている大手検索エンジン集があります。この「検索デスク」による検索結果の評価でMooterが1位になりました。Googleに対抗できる検索エンジンの登場として高い評価をいただきました。



■サーチエンジンの進化


次に、サーチエンジンがどのように進化してきたかについて、お話ししたいと思います。1989年に開始されたAOLのサービス以来、Yahoo!をはじめとするウェブディレクトリ型検索エンジンが生まれました。これだと探したい情報にたどり着くまでに時間がかかるという問題があり、1996年にスタートしたAsk Jeeves(Ask.jpの前身)の全文検索エンジンなどが開発されました。


そして、1998年のGoogle開始以来、ロボット型検索が主流になります。2001年にはgoto.com(現在のOverture)が検索連動型広告を開始。そのOvertureを2003年にYahoo, Inc.が買収し、翌年にはYahoo!が独自のロボット型検索を取り入れました。


今後の展望としては、ソフトウェアとwebの組み合わせにより、検索エンジンがwebアプリケーション化すること、データマイニング技術の進歩により、新しいコミュニケーション手法が生まれることが考えられます。



■新市場を目指して


2000年から現在までのネットコマース市場とネット広告市場規模の推移を見てみますと、モバイル(携帯)市場は、インターネット(PC)市場から約3.5年の遅れをとっています。
2005年現在、モバイル市場はインターネット市場の約10分の1の規模しかありませんが、まだまだ大きなポテンシャルがあると予測しています。と言いますのも、インターネット広告市場は常時接続比率が20%を超えた2002年から急拡大した経緯があるからです。モバイルにおいても定額制比率が20%を超えたこれからが、市場拡大の段階に入ると考えています。


また、コンテンツ、eコマース、ブログ、SNSなどPCのアナロジーとしてのモバイルサービスについては、進化のタイムラグが縮小し0年化する一方、インターネットビジネスを牽引してきた「検索エンジン」ではタイムラグが非常に大きく、2006年にGoogle登場という、実に10年遅れでのサービス開始となったのです。



■Mooterモバイルの発表


このようなポテンシャルの大きい市場環境と、少ないキーワードから的確な検索結果を表示できるクラスタリングサーチエンジンの優位性を生かし、2007年5月にMooterモバイルを発表しました。 ユーザーがキーワードを入力すると、キーワードに合ったカテゴリページが表示されます。


カテゴリページから目的のカテゴリをクリックすれば、その内容以外は混在しない検索結果を提供します。また、カテゴリ Off ボタンにチェックを入れて検索すると、カテゴリページが省略されダイレクトに検索結果ページを表示します。 また、日本初となる、電話番号抽出機能の標準装備や、アダルトサイトを検索結果から排除するAdultフィルタ機能も搭載しています。


■モバイル研究開発のビジョン


将来的には、ユビキタス環境における高精度・ハイユーザビリティな検索技術を通して、情報リテラシーに依らず誰でも簡単に有益な情報アクセスを可能にし、公益に寄与するサービスを目指して研究開発を行っています。 ストレスフリーな情報ナビゲーションとして、次のような情報マッチングのモデルを研究しています。利用者のシーンを特定する情報を衛星、生体認証、各種センサを通して取得することで、情報検索の付与条件として活用する。


たとえば、音声認識技術等により検索キーワードの入力抵抗を低減させることで、誰でも自然に情報へのアクセスを可能とする。上記により与えられた検索条件に基づき、情報ソースの中からより的確な検索結果が得られるよう蓄積・学習された各種パーソナルナレッジやパブリックナレッジを活用する、というものです。


実用化の例をお話しします。ユーザーが「今、受診できる一番近い内科医院を教えて」と声で検索したとします。自然発話から音声認識によって5W1H条件を抽出します。衛星が位置を捕捉し、生体認証が個人を特定し、血圧・体温などのデータが転送されます。それらと情報マッチングを行い、個人とシーンに最適化された情報提示を行います。検索結果表示、口コミ情報、ナビゲーションなどの提示が考えられます。


■企業のリスクマネジメントへのソリューション



Mooterの検索技術を生かし、webサイトの自動監視システムを開発しました。


「Mooterパトロール」として実用化しています。ブログやSNS等へのユーザーの書き込みには企業の商品・サービスに関する誤表記や禁止表現が多く含まれています。これまでは人海戦術でサイト監視をするサービスがほとんどで、システムによる自動監視は他に例を見ません。


Mooterパトロールは、リアルタイムの情報検索とコストダウンを強みとして、企業への導入を進めています。アフィリエイトASP企業への広告の品質向上・管理を目的とした導入や、ネット上での風評調査などに導入実績があります。



■人とソフトウェアとの新しいコミュニケーション



Mooterが目指しているのは「コンシェルジュ型検索サービス」です。今までの検索はテキストベースなので、商品名が分からなければ検索ができなかったのです。それが、テキスト以外の検索対象から検索できるようになれば、検索結果の最適化が図れると同時に、eコマースの需要がより喚起されると考えています。


2004年の全市場規模に対する電子商取引の割合を見ますと、電子商取引(EC)の規模はたった2.1%しかありません。小売業者から購入する人が約98%、メーカーから直接オンライン購入する人は、まだ2.1%。検索エンジンが「音声」や「画像」などを手がかりに「人」を予測して商品に結びつける、対話型サービスを展開できるようになれば、今後eコマース発展のさまざまな可能性が考えられます。

検索エンジンが小売業者の代わりになる、検索技術イノベーションが経済モデルを変える日も実現するのではないでしょうか。



● 質疑応答

Q1 Mooterのビジネスモデルについて質問します。広告収入以外に、他社にはないビジネスモデルをお考えですか?

A1 現在、市場はリスティング広告が大半を占めています。リスティング広告やコンテンツマッチしか広告モデルがないのが現状です。Googleも、アドワーズ以来新しいソリューションを提供できていません。
Mooterでは、システムをプラットフォーム化して広告供給を行うことを構想中です。広告とeコマースを組み合わせ、仲介料をいただくビジネスです。また、人とソフトウェアとの新しいコミュニケーションを開発し、音声認識ができる環境を普及させたいと考えています。


2007.5.10
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