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■ Report
  
第75回「Eビジネス研究会」                           平成18年9月1日(金) 
   
テ   ー  マ:    『本格化するモバイルSEM市場、その市場性と効果的な活用法』
〜日本発のモバイル検索連動型広告、サーチテリアが展開するサービス〜
   
Eビジネス:
マイスター
サーチテリア株式会社
代表取締役 (アカウントマネジメント担当) 大森 拓也 氏
アカウントマネジメント担当 リーダー 旭 利明 氏
    
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75回目の今回は、サーチテリア株式会社 代表取締役 大森拓也氏とアカウントマネジメント担当リーダーの旭 利明氏をお迎えして、本格化するモバイルSEMの市場性と集客、費用対効果を含めた活用法についてお話いただきました。


■モバイル広告のマーケット

 
モバイルの広告市場は、PCと同様にバナー広告、テキスト広告、メール広告、タイアップ広告が中心です。SEM広告はまだ始まったばかりですが、将来的にはモバイル広告の主流になると大森氏は見ています。
その理由は、アメリカのPCのインターネット広告市場において、約35〜45%がSEMの広告費に使われており、今後は50%以上に成長すると見込まれているからです。


日本のPCのSEM広告市場は、アメリカより約2年遅れていると言われています。
現状では、広告費全体の25%を占めていますが、数年後には45%まで伸びると言われており、この流れがモバイルにも波及することは必至といえるでしょう。


以下では、PCとモバイルのSEM広告の違いを示した上で、モバイルのSEM広告の戦略について見ていくことにします。


 1.ヤフーのような巨大な検索サイトがモバイルにはなく、現状ではランキングサ
   イトなどと幅広く提携していく必要がある。


 2.キーワード検索自体が、モバイルはまだ一般化されていない。
   今後は、カテゴリー検索などの仕組みを考えていく必要がある。


 3.市場規模がまだまだ小さい。SEM広告は管理に手間が掛かるので、似たよう
   なキーワードを集めてカテゴライズして、そこに広告を入稿してもらう仕組み
   を作っていく。これにより管理も簡単になる。


 4.日本の独特な商慣習やマーケットの規制を考えて、広告を打つ必要がある。


 5.携帯電話は画面サイズが小さいため、リッチなデータをやり取りすることがで
   きない。そのため、SEMのようにテキストベースで効率よく広告を見せていくこ
   とは、適合性が高いといえる。
   反面、広告枠が少なくなるというデメリットもあるため、入札制度を活用して常
   に新鮮な広告を載せていくような仕組みを作る。


 6.携帯電話は複数のキャリアが存在し、管理に手間が掛かる。キーワードでは
   なく、広告カテゴリーというパッケージで管理していく手法が有効となる。


 7.クリック率が高いのがモバイル広告の特徴である。よい広告が出ていれば、
   ユーザーはクリックする確率が高いので、費用対効果も高いといえる。


 8.PCと比べてSEMがやりにくい。


 9.効果測定がしにくい。今後、仕組みが進歩していけば、モバイルのSEM広告
   市場は一気に拡大することも予想される。  


サーチテリア社が考えるSEM広告の展開とは、「モバイル業界に新しい広告マーケットを作る」ことを目標としています。PCと同じように成長することが見込まれているため、今後はSEM広告がマーケティングとしてますます活用されるでしょう。
とはいえ、モバイル特有の事情もあるため、業界内で協調してマーケットを作っていければよいと大森氏はいいます。


■サーチテリア広告の特徴


次に、サーチテリア広告サービスの特徴について、アカウントマネジメント担当リーダーの旭氏より説明していただきました。主な特徴は、以下のとおりです。


 1.広告をキーワードではなく、カテゴリーで管理していくことによって、管理の手
   間が大幅に効率化できる。


 2.クリック単価を入札に利用しない。


 3.費用対効果が高く、広告主にメリットの多い媒体を実現している。  


1については、先に述べたとおり、サーチテリアではキーワードで広告を管理をするのではなく、キーワードを1つのパッケージとして「カテゴリー」という形で管理しています。したがって、あるキーワードに関連する単語についてはほぼ網羅することができるため、トレンドや専門的な内容についてもカバーできるのです。また、常に新鮮で使いやすい情報を提供するため、カテゴリーについては、日々統廃合が行われています。
 

2については、クリック単価における入札を行わず、最終的には独自の方式で広告の掲載フィーを決定しています。例えば、あるカテゴリーに同時に3つのクライアントが出稿したいという場合、簡単にいうとクリック単価に応じて、上位に広告が掲載される確率が高くなるという仕組みになります。この仕組みの特徴は、クリック単価が低い場合でも、上位に広告が表示される確率があるということです。


3については、2で述べた費用対効果に基づいたクリック単価により、安定した広告掲載が可能となり、広告主にやさしい広告媒体を実現させているということです。例えば、オークション形式を採用したために広告単価がつり上ってしまい、結果として費用対効果が合わなくなり、末永く使ってもらえなくなるということが実際に起こっています。こうした無理・無駄をなくす意味でも、効果は大きいといえます。


■クライアントへのアピールポイント  


現状では、基本的にどの広告主、コンテンツプロバイダーとも単価に対して厳しいスタンスを持っており、クリック単価についても、一顧客あたりの獲得単価は100円から1,000円までと幅広くなっています。しかし、これを400円、500円の平均水準に持っていくことは、決して難しいことではありません。


これを実現するためには、ただ漫然と広告を出稿するだけでは難しく、広告ターゲットの明確化と広告が持つサイト構成との適合性およびサイトのユーザビリティを最適化する必要性があります。これはPCのSEMと全く同じです。


あるクライアントに旭氏がサーチテリア広告をプレゼンした際には、以下のような点をアピールしていったといいます。


 1.検索をして、初めて広告が出て、広告をクリックしてサイトに誘導するという流
   れであるため、ある程度目的意識を持ったユーザーでなければクリックをしな
   い。こうしたユーザーを多く獲得できる点が、サーチテリア広告サービスの強
   みである。


 2.CPCコンテンツなどは、クリックすることによって費用が発生するため、漫然と
   バナー広告を出すよりは費用対効果が高い。


 3.定期的に安定したアクセスがある。


 4.期間限定のバナーなどではないため、広告を出稿しているだけで継続的な露
   出がある。


 5.カテゴリーで管理しているため、PCと比べて初期コストが低く押さえられる。


■サーチテリア広告サービスの課題
 


では、現状サーチテリア広告のボリュームはどのくらいあるのかというと、2005年2月と2006年7月の比較では、扱い高で約13倍と非常に高い伸びを示しています。扱い高に関しては、もちろん取引をしている広告代理店や広告主の協力があってこそですが、全体としてモバイルのSEM市場は拡大、急成長しているといえます。
 

提携サイトについては、Infoseek、BIGLOBEなど現状170サイト以上あり、サーチテリア広告を販売している広告代理店についても、約70社との契約があります。


一方、広告主については、約1,000社以上に利用されています。業種も様々で、消費者金融会社、保険会社、コンテンツプロバイダー、携帯キャリアなどを主に、特徴的なところでは学校関係が多くなっているといいます。これは、一般的に携帯電話を最も利用する層が20歳以下の若年層であるため、これらのユーザーに向けて学校の広告・宣伝をすることが有効と考えているようです。


最後に、今後は媒体規模の拡大と提携サイトを増やしていくことが課題だと大森氏はいいます。広告主が多く集まっても、それに比例して広告を提供する場がなければ意味がありません。その意味でも、たくさんのサイトと提携することが重要となってくるのです。


また、サーチテリア社では、広告効果を測るためのツール開発にも意欲的です。モバイルの効果測定に関しては、未だ完成したものがないため、顧客に対する訴求力を高める意味でも、重要なツールといえます。






● 質疑応答


Q1 御社のされているサーチテリア広告はCPC型だと思うのですが、これ以外に同じようなマーケティングツールとして、携帯のアフィリエイトやバナー広告があります。これらと比較して単価はどうなのですか?また、これらに比べて優位な点はどんなところですか?

A1 弊社の売り方としては、まず導入のしやすさという点から提案させていただくようにしています。クリック単価についても、20円からになっていますので、あまり投資をしなくても費用対効果を高められる、という点を訴求しています。すなわち、できるだけ敷居を低くするということです。


Q2 広告というのは、やはり予算を決めて投資していくものだと思うのですが、サーチテリア広告の場合は、予算組みについて一月どれくらいとか決めることができるのでしょうか?

A2 現状としては2パターンありまして、登録いただいた予算をすべて使うまで広告を表示しますという方法と、月額で予算を設定してもらうという方法があります。クライアント様の使いやすい方を選択していただいています。


Q3 最近は携帯でPCサイトがそのまま見れるようなツールも出てきていて、モバイルのPCサイト化が進んでいると思います。そのような動きについては、戦略としてどのようにお考えですか?

A3 基本的に(ウィルコムさんのような)フルブラウザというのは、正直見にくいと個人的には思っています。今後、マーケット的にフルブラウザのツールが多くなってくれば、技術的には対応可能ですので考えていきますが、現状はまだまだそこまで行かないのではないと思っています。もし、全世界的にそうした動きが出てくれば、対応していこうとは思っています。


2006.9.1
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