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■ Report
  
第79回「Eビジネス研究会」                         平成19年2月23日(金) 
   
テ   ー  マ: 『Windows Vista登場!!
マイクロソフトが考えるWeb2.0を超えた次世代Webの姿とは』
〜Software Plus Services
         次世代Webユーザーエクスペリエンスの実現〜
   
Eビジネス:
マイスター
マイクロソフト株式会社
デベロッパー&プラットフォーム統括本部
戦略企画本部 Webプラットフォーム推進部
エバンジェリスト 鈴木 章太郎 氏
    
当日の様子はこちらから 当日の資料(抜粋版)はこちらから
               

79回目の今回は、マイクロソフト株式会社の鈴木章太郎氏をお迎えして、ソフトウェアとサービスの融合により実現される、ユーザーを中心とした次世代のWeb2.0などについてお話いただきました。


■Web2.0の登場とIT環境の変化


現在のITを取り巻く環境の特徴は、「技術革新とユーザー自身の変化が相乗効果をなして、状況が日々刻々と変化している」ということです。例えば、これまでパソコン上でしか受け取れなかった情報が、今では携帯電話PDAなど様々なデバイスを使って、色々な場所で受け取れるようになりました。特に最近は、RSSのようにオンラインで更新通知のデータを受け取ることが一般的になっており、それに対応するブラウザなども出てきました。


また、これまでインターネットの広告は採算性が低いと言われてきましたが、グーグルに代表されるように、広告に支えられたビジネスモデルが成立することも証明されてきました。


このような環境変化の中で、いま盛んにいわれている「Web2.0」について、マイクロソフトでは、以下のような捉え方をしています。


(1)プラットフォームとしてのWebのXML化……XHTMLなどがブログの主要な構成要素になったり、RSSのフィードなどがプラットフォームとしてのウェブのXML化を進めました。その結果、人気のあるサイトやブログに人の関心が集まることになり、その判断に基づく新しい購買行動や情報の交流が活発になりました。  


(2)「データ」を持つ者が強い時代に……企業・個人にかかわらず、カタログ的なデータを持つことが重視されるようになり、データを持つ者が市場の支持を得ています。


(3)ソフトウェアリリースサイクルの終焉……サービス自体が日々更新されていくものであり、それがオンライン上のサービスの価値につながる時代になりました。


(4)軽量なプログラミングモデル……例えば、Webサイトを作る場合、これまでは複雑なコンピュータ言語的なものを使っていましたが、PHPのように手軽にコピー&ペーストができて、サービスの追加・削除が容易に行えるプログラミングモデルが求められるようになったことは、大きな変化といえます。


(5)単一でデバイスを超えたレベルのソフトウェア……これまでは、携帯、パソコンなど各デバイスによって見られるコンテンツとそうでないコンテンツがありました。しかし、ユーザーにはこれらを同じように扱いたいというニーズがあるため、それに応えるようなソフトウェアが今後増えてくるでしょう。


(6)リッチなユーザーエクスぺリエンス……これが今回の大きなテーマですが、ユーザー中心のウェブ環境を考えた時、動画、音声、アニメーションなど、様々なコンテンツをいかに効果的に配信していくかということが、ますます重要になっています。


上記のような環境変化に対してマイクロソフトが着目するのは、Web2.0とはユーザー主導の流れであり、その中で「いかに楽しく・面白く・心地よく」ソフトウェアを使ってもらうかという点です。そうした意味では、すべてのサービスを網羅的に提供することを考えるのではなく、自社の強みを生かすことが重要になると鈴木氏はいいます。


■シームレスなユーザーエクスペリエンスの提供


Web2.0の流れは、人々の生活や仕事のスタイルにも様々な変化を起こしています。人々は、仕事とそれ以外の生活を明確に区別しているわけではありません。例えば、仕事もしつつ、次の旅行の計画やカレンダーのスケジュール管理等を意識しながら生活を営んでいるというのが現実の姿なのです。


このような中で、次世代のWebに求められるのは、ユーザーが本当に使い易いと感じられるソフトウェアやサービスを提供することだと鈴木氏はいいます。しかし、それにはソフトウェアだけでもサービスだけでも足りません。すなわち、両者の融合による「シームレスなユーザーエクスペリエンスの提供」こそが必要になります。


マイクロソフトでは、「Software Plus Services」という考えのもとに、ソフトウェアとサービスの融合によって、適材適所でシームレスなユーザー体験を提供していくコンテンツを提供しています。例えば、ソフトウェアとサービス、パソコンと携帯などのデバイス、Webブラウザとその他のアプリケーション等、すべてをシームレスにつないでいくことで、より選択肢を増やしていくアプローチを行っています。以下では、この「Software Plus Services」について、具体的に見ていきます。


■Software Plus Services(ソフトウェアプラットフォーム)


マイクロソフトでは、以下の5つのソフトウェアプラットフォームを、目に見える形で、ユーザーエクスペリエンスの一つとして提供していきたいと考えています。


(1)Smart Clients……WindowsアプリケーションやWebアプリケーション等が、非常にリッチなコンテンツを提供する上で、提供する方法や視覚化していくための方法を考えるときに重要になります。 


(2)ブラウザ……よりリッチなブラウザ上の体験をユーザーに対し提供することが必要となります。


(3)RSS……RSSは、ユーザーインターフェイスとは関係ないようにも見えますが、ユーザーがデスクトップやブラウザ、アプリケーション上で情報を組み合わせられるという意味では、RSSもユーザーエクスペリエンスの一つではないかと考えます。


(4)Media Center……テレビインターネットPCを使ってメディアを「見る」「聞く」ということに特化した機能です。当然、リッチなコンテンツの発信に有効なものとなっています。


(5)Windows Mobile……PDA端末や携帯電話などモバイルデバイスのためのプラットフォームです。


■Software Plus Services(サービスプラットフォーム)


次に、マイクロソフトが提供するサービスプラットフォームについて見ていきます。


1つ目は、簡単なことですが、ホスティングのソリューションというものを常に持っています。これは、Windowsベースのホスティングをサーバー等にホスティングすることができるということです。どちらかというとビジネス的なソリューションで、企業向けのセクションといえます。


2つ目は、Windows Liveを中心とするLive Serviceです。Office Live、Xboxといった多彩で革新的なサービスが用意されています。また、この中のサーチサービスについては、グーグル等も最近出されていますが、弊社もWebやイントラネット、デスクトップアプリケーションなど様々なサービスの中で横断的にサーチできるような仕組みを提供しています。


■次世代Webの構築に向けた着眼点


これまで見てきたように、マイクロソフトではサービスとソフトウェア両者のプラットフォームを組み合わせることによって、Web2.0に次ぐ次世代のWebのようなビジネスが考えられるのではないかといいます。


例えば、企業向け、個人向けともに今後の期待として考えられるものは、高度なユーザーエクスペリエンスを提供する上でのセキュリティや、Webのプラットフォーム化、そしてWeb上にある情報をシームレスに連携していくという事です。
Web2.0を語る上では、最近よく「マッシュアップ」という言葉が使われています。一般的には、ユーザーが自由にアクセスできる、あるいはインストールなどが必要無いようなサービスを提供するという意味で使われることが多いですが、鈴木氏は、本来そうではなく、異なる認証基盤の、異種のプラットフォームを組み合わせてマッシュアップしていかなければ、単独のプラットフォームだけではなかなか実現しないと強調します。


また、今後はそうした観点をユーザーエクスペリエンス、プロセスの最適化などに応用し、システムの開発やプロジェクトにあたって欲しいといいます。





● 質疑応答


Q1 マイクロソフトさんのイメージとして、やはりPCに強いというイメージがありますが、モバイルに関してはどのように考えているのか教えて下さい。

A1 弊社では、モバイルに関しては、Windows Mobileというものを展開しており、こちらもノートPC上のOutlookを立ち上げるのに変わり得る端末として結構、はやり出してきています。

また、今日ご紹介したWPFはVista限定ですが、今後は、これのサブセットであるWPF/E(Everywhere)という物をリリースする予定です。マッキントッシュやリナックス、携帯も含めて非常に多くのデバイスをサポートする、リッチなユーザーエクスペリエンスを実現するプレゼンテーション技術です。
    
プラットフォーム自体がWindows Mobileになっているものに加えて、普通の携帯電話で実行できるようなランタイムエンジンという形で捉えていただければよいと思います。


Q2 エンタープライズ2.0が出現すると、(Vistaを使った前提で考えると)日本の企業がVistaを導入してエンタープライズになっていくかといった、予測や方向性について教えて下さい。 

A2 Vistaについては、11月に企業向けを、1月末にコンシューマー向けを出荷させて頂きました。現状、コンシューマー向けの立ち上がりは予想以上に早いものの、企業向けの方はすぐに伸ばしていくことはできないと思っています。そういった意味でWPFの例をとりますと、例えば、XPユーザーのことを考えたアプリケーションの設計をしていく配慮が必要だと考えています。その場合、見た目や実行環境というのは、.NET Framework 3.0をダウンロードしてインストールして戴ければ一緒にできます。そういう意味では、XPも十分使えると思います。


Q3 グーグルさんのお話はふれられる事も多いと思うのですが、例えばハードウェアで成功したのはIBMですが、売却してしまいました。ソフトウェアでマイクロソフトさんが出てきて、次にどうなるのか?グーグルに食われてしまうのではないかという話を巷ではよく聞きます。結局、真意はわからないのですが、実際はどのようにお考えですか?

A3 グーグルさんは、最近、エンタープライズアプリケーションというに近いサービスを出されて、そういう意味ではオンラインの方に全てのソフトウェアが移っていくのではないか、サービス化するのではないか、という話をメディアでよくされる方がいます。

しかし、我々はそのようには思っていなくて、やはり携帯電話とかPCとか、現在普通に使っているソフトウェアやデバイスはそのまま使っていきたいというのがユーザーの心理だと思いますので、その中でどのようなユーザーエクスペリエンスを提供していくべきかということを考えています。

結局、サービスだけあってもダメで、その入り口が必要かつ重要です。また、何もかもブラウザだけでできるわけではないので、ソフトウェアの方も重要だと我々は考えています。これがSoftware Plus Servicesという考え方です。


2007.2.23
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