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■ Report 第43回Eビジネス研究会
 
『Webマーケティングを変える次世代型のアクセスログ解析』
〜プロモーションの有効な効果測定とその手法について〜
 
株式会社アイ・ティ・フロンティア
ソフトウェア事業推進部
Web Trendsブランドマネージャー 清水 龍平 氏

  サムネール pdficon
当日資料(抜粋版)


43回目の今回は、Eマーケティングを実践していくうえで大変重要な手法の一つである「アクセス解析」について、(株)アイ・ティ・フロンティアの清水龍平氏にお話いただきました。
アクセス解析とは、簡単に言うとウェブサイト上の消費者の行動履歴である「ログファイル」など、各種アクセス情報を分析することによって、消費者の行動をより深く知るための手法です。
国内の市場の状況や各種ツールの説明、今後の可能性などについて、清水氏より分かりやすく解説していただきました。


アクセス解析とは


昨今、ウェブはテレビや新聞などを追い抜くメディアとして、ビジネスにおいても注目されています。従来のメディアになかったウェブの特徴としては、「リッチネス」と「リーチネス」が高いことが挙げられると思います。
「リッチネス」とは、企業と個人がコミュニケーションを取っていく際に、どこまで込み入ったコンタクトができるのかを示す指標で、「リーチネス」とは、その到達度を表します。
従来メディアの場合、この「リッチネス」と「リーチネス」を同時に実現することは不可能とされてきましたが、インターネットの登場によってそれが可能となり、マーケティングに活用しようとする企業も増えているわけです。中でも注目される手法が、今回ご紹介する「アクセス解析」です。

アクセス解析の特徴をお話する上では、従来型の解析ツールとの比較で考えると分かりやすいと思います。従来型ツールで解析することができた対象としては、ページビューやヒット数、訪問者数といったアクセスの「量」に関するデータが中心でした。
一方、最新のアクセス解析手法・ツールでは、サイト上で訪問者がどのような行動をしたのか、例えば、商品の購入なのか、資料請求なのか、情報収集なのかといったアクセスの「質」が瞬時に読み取れます。
具体的には、コンバージョン率(全見込み顧客数に対する目的顧客の獲得数=到達率)やCPA(訪問者一人あたりをサイトに誘導するためにかかったコスト)、CPC(サイトに初めて訪れた「新規顧客」をいわゆる「顧客」にするまでにかかったコスト)、粘着性(訪問者一人あたりのサイトの滞在時間)といったこれまで把握することが難しかった情報を、定量的な数値として読み取ることが可能となります。
これらを分析することによって、企業はより消費者の真意を捉えたマーケティングや経営判断ができるといえます。
さらに、こうした定量的情報に加え「セグメンテーション」と呼ばれる、訪問者の属性情報に行動傾向を掛け合わせたデータマイニングを行うことによって、顧客の潜在需要なども知ることもできます。


3つの分析手法における特徴


アクセス解析には、大きく以下3つの手法があります。
  1. ログ解析
    現在、最も普及している手法で、訪問者がウェブサーバーに到達し、そこにリクエストレスポンスが記録されたデータ(アクセスログ)を、分析サーバーによって分析するというものです。この優位点は、保存性がある、ノイズ分析による効果といったことに加え、確立された技術であるため信頼性が高いということが挙げられます。また、訪問者の再訪問率や何日おきに訪問したかということも分かります。

  2. パケット解析
    ウェブサーバーに流れるパケットをキャプチャーして解析するという新しい手法です。ウェブサーバーに蓄積されるログファイルに対して、やり取りされるパケットというのは非常に少量のバイナリーデータであることから、リアルタイムに解析をすることができます。この点では、・のログ解析よりも優位性があるといえます。
    ただし、注意点として、ブラウザ上にキャッシュがある場合などは、未到達のリクエストが存在してしまいます。また、パケットの特性として一度流れたデータは2度と再現できないという技術上の限界があるので、パケット解析は密度の濃いマーケティング分析というよりは、即時性を重視する大規模サイトに向いていると言えます。

  3. タグ埋め込み
    サイト閲覧の仕組みを見ていくと、まず訪問者のブラウザからリクエストが飛び、ウェブサーバーに到達し、ページを介していくときに訪問者のブラウザに初めてページが返ってきて、実際の閲覧行動が始まります。
    その始まった瞬間に「JAVAスクリプト」と呼ばれるプログラムを利用して、その訪問者がブラウザ上に表示したページを集計サーバーに飛ばす、こういった手法を「タグ埋め込み」といいます。
     このメリットは、「ページ中で訪問者がどんな行動をしたのか」ということが的確に分かるということです。例えば、最近流行りのリッチアプリケーションである「フラッシュ」などは、クライアントサーバーのような動きをHTML上で行うという非常に優れたツールですが、難点として、一回ブラウザに読み込まれてしまうと、サーバーとブラウザの間にリクエストが読み込まれないという難点があります。
     こうした場合、「タグ埋め込み」を採用することによって、ページ上での訪問者のクリック行動、閲覧行動といったものを測定することができます。
    ただし、注意点もあります。通常アクセス解析では詳細なデータを取るために「クッキー」を発行しますが、ウェブサーバーのドメインとは別のドメインにタグ集計用サーバーを置く場合、「第三者クッキー」を発行することになります。IEなど通常のブラウザは、デフォルトでは第三者クッキーを受け取らない仕組みになっています。これによって、タグ埋め込みの効果は半減してしまいます。
    したがって、本格的にマーケティングにタグ埋め込みを活用するためには、自社ドメインに集計サーバーを置く必要があります。

最後に上記1.〜3.のアクセス解析を行う上での、主な注意事項をまとめていただきました。
  • アクセス解析は、あくまで定量調査であるため、定性調査と組み合わせてマーケティング分析を行う必要がある

  • アクセス解析のツールを導入するには、どれくらいの費用を掛けて、どんな情報を得たいのかといった、導入の目的を明確にすることが重要

  • アクセス解析の導入目的を明確にするためには、ウェブサイトの目的も明らかにする必要がある(例:売上を上げたい、訪問者数を増やしたいなど)

  • アクセス解析のツールを導入しただけでは、絶対に成果は上がらない。改善のアクションを取るためのフロー・組織が準備できない場合は、ツールを導入すべきではない。無償ツールはこのように、予算が取れない・組織を構成できないなどの場合に選択対象となる。

  • アクセス解析は、データマイニングである。したがって、技術的な観点とマーケティング的な観点の両者のアプローチが求められる
測定対象(ビジネスゴール)を決める


 アクセス解析では、これを導入することによって、目標とする企業のビジネスゴールやコンセプトを明確にすることが重要であることは、今まで述べてきました。実際には、設定した目標と現実とのギャップを「効果測定」を通して見極め、原因の追求や検証を行っていくことが必要になります。
 次に、アクセス解析における測定対象(ビジネスゴール)のタイプについて、清水氏から説明がありました。インターネット上のサイトの測定対象は、大きく次の4つに分かれるといわれています。
  1. Eコマース型
    オンラインで販売を行うタイプのサイトで、アマゾンや楽天などが有名です。目的は売上の増大になるので、測定指標は売上、製品ごとの売上、顧客属性ごとの売上です。これらを集計して、現状との検証を行います。

  2. コンテンツ型
    サイトになるべくたくさんの訪問者を誘致して、一人あたりのページビューを増大させ、広告の配信数を最大化して、広告収入から売上を上げることが目的です。例としては新聞サイトやニュースサイトなどがこれに当たります。したがって、測定指標としては、一訪問あたりのページビュー数、あるいは滞在時間、広告配信数ということになります、このタイプは、先に紹介した、「タグ埋め込み」の手法が正確な数値を把握する上で最も適していると言えます。

  3. リードジェネレーション型
    これは、特にB to Bのサイトに多いもので、申込みやユーザー登録など訪問者の顧客情報を獲得することが目的です。測定対象としては、コンバージョン率などが重要になります。

  4. セルフサービス
    銀行のオンラインバンキングや、PCのオンラインサポートなどがこのタイプに当てはまります。オンラインで、顧客の問い合わせに回答して、顧客満足を高めると同時に、オフラインにより人件費の削減などを図ります。測定指標はコンバーション率ということになります。
次世代型のアクセスログ解析


 最後に、清水氏より今後のアクセスログ解析の可能性について、いわゆるインサイトの高い顧客ニーズを把握することができる、「次世代型のアクセスログ解析」の手法を紹介していただきました。
 次世代型のアナログ解析では、購買プロセスの分析、すなわち測定指標でいうコンバージョン率の測定が、製品ごと、製品ジャンルごとに定常的に測定でき、ページデザインの変更や新製品の追加ごとにレビューを行うため、売上の最大化を導くことができます。
 また、顧客プロファイル情報といったものを、アクセス解析に取り込むことができるようになっています。これにより、顧客のデータベース情報とログファイルをアクセス解析のレポート上でドッキングさせることによって、非常に効果的にマーケティングに活用することができます。ただし、個人情報保護法が2005年4月から施行されるので、大事なポイントとしては、住所・氏名・電話番号といった個人を特定する情報をいかにセキュアに保護しながら、年齢・職業・地域・年収などの「属性情報」だけを抜き出してマーケティングに活用できるかという点が、企業のコンプライアンスおよび競争優位に大きく左右します。

企業がアクセス分析を導入するポイントはどのような所にあるのか、マーケティング担当者なら誰もが気になるところではないでしょうか。
これまでお話してきたように、アクセス解析により企業がより密なマーケティング分析を行なうためには、従来のページビューなどから得られたアクセスの量に関する測定指標のみでなく、市場ニーズや実施すべき改善施策を見るためにも、CPAやCPCといった指標を導入していく必要があります。さらに、こういった指標をサイトの目的にあわせて導入していくことが重要になります。こうした発想転換が、いまこそ求められているのではないでしょうか。

                                          2004.11.26
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